ソリッド要素と計算速度 R11.2.1 (2021)

投稿日: 25/April/2021

非線形CAE解析ソフトウェアLS-DYNAのソリッド要素の計算速度について調査しました。(LS-DYNAは有限要素法を解析手法とした汎用FEM解析ソフトウェアです) ここでは、2021年にリリースされたLS-DYNA ver.R11.2.1の、ソリッド要素の計算速度チェックを行いましたので結果を示します。

テスト問題は、下図に示すTaylor Bar Impact 問題で、銅製円柱を超高速でRigid Wallに衝突する問題で、動的陽解法により解析しました。ソリッド要素のフォーミュレーションタイプと計算速度比をグラフにしました。横軸にフォーミュレーションを,縦軸に六面体1点積分要素(ELFORM=1)を基準とした速度比を示しています。


図1 Formulation Type vs 計算速度比 R11.2.1


図2 Taylor Bar Impact 問題 円柱の変形図 R11.2.1

  • ELFORM=1:Constant stress solid element (六面体1点積分要素)
  • ELFORM=2:8 point hexahedron (六面体S/R積分要素: 次数低減積分要素)
  • ELFORM=3:Fully integrated quadratic 8node element with nodal rotations
  • ELFORM=5:1 point ALE (ALE シングルマテリアル要素)
  • ELFORM=10:1 point tetrahedron (四面体1点積分要素)
  • ELFORM=13:1 point nodal pressure tetrahedron (四面体1点積分要素)
  • ELFORM=16:10 noded tetrahedron (10節点四面体2次要素)
  • ELFORM=23:20-node solid formulation (20節点六面体要素)
  • ELFORM=24:27-noded, fully integrated S/R quadratic solid element (27節点六面体要素)
  • ELFORM=23:8-node quadratic quadrilateral shell
  • ELFORM=29:64-node, cubic hexahedron (64節点六面体要素)
  • ELFORM=60:1 point tetrahedron (四面体1点積分要素)
  • ELFORM=-1:8 point hexahedron for poor aspect ratios, efficient formulation
  • ELFORM=-2:8 point hexahedron for poor aspect ratios, accurate formulation


六面体1点積分要素(ELFORM=1)に対して、六面体S/R積分要素(ELFORM=2)の計算時間は、2.0倍長い結果となりました。

四面体1点積分要素(ELFORM=10)に対して、ELFORM=13の要素の計算時間は、2.1倍長い結果となりました。

四面体1点積分要素(ELFORM=10)に対して、四面体二次要素(ELFORM=16)の要素の計算時間は、約15.8倍長い結果となりました。

四面体1点積分要素(ELFORM=13)に対して、四面体二次要素(ELFORM=16)の計算時間は、約7.4倍長い結果となりました。

六面体要素モデルの要素数は約6.5万要素であり、四面体要素モデルの要素数は約18.5万要素であり、要素数の差は約2.85倍です。

六面体1点積分要素(ELFORM=1)に対して、四面体1点積分要素(ELFORM=10)の計算時間は、約5.3倍長い結果となりました。

六面体1点積分要素(ELFORM=1)に対して、四面体1点積分要素(ELFORM=13)の計算時間は、約11.3倍長い結果となりました。

六面体1点積分要素(ELFORM=1)に対して、四面体二次要素(ELFORM=16)の計算時間は、約83.7倍長い結果となりました。

R11.1へ R11.2.2へ