当社は、非線形有限要素法構造解析の技術系解析コンサルティング会社です。
下記の文献を参考にして、解析モデルを作成し、LS-DYNAの静的陰解法と動的陽解法でそれぞれ四点曲げの応力解析を行った解析例を示します。解析モデルは、3次元モデルとし、板と治具はそれぞれ六面体ソリッド要素で作成しました。板は弾性体とし、治具は剛体でモデル化しました。圧子と板、支点と板の間には接触条件を定義して力の伝達を考慮しました。解析は最初に板の両端部にX方向の引張荷重を負荷した後、圧子による曲げ荷重を負荷しました。本問題を、ANSYS LS-DYNAの静的陰解法(Static Implicit)と動的陽解法(Dynamic Explicit)による2つの解析手法を用いて解析し、ミーゼスの相当応力分布を比較しました。
Fig.4とFig.5より、帯板に引張荷重のみを負荷した段階のミーゼスの相当応力分布はほぼ一致しており、静的陰解法と動的陰解法による解析は、ほぼ同じ結果が得られていることがわかります。
Fig.6とFig.7より、帯板に引張荷重と曲げ荷重を負荷した段階のミーゼスの相当応力分布はほぼ一致しており、こちらも静的陰解法と動的陽解法による解析は、ほぼ同じ結果が得られていることがわかります。最大応力値は治具と帯板の接触部に発生しており、着目部の切り欠き部の応力値はそれらよりも小さい値となっています。
Fig.8とFig.9に、帯板に引張荷重と曲げ荷重を負荷した段階のミーゼスの相当応力分布を示します。Fig.6とFig.7との違いは、相当応力の表示レンジを0〜200MPaに固定してある点と帯板の変形表示倍率を10倍に拡大表示して変形状態をわかりやすく可視化してある点です。着目部の切り欠き部に高い応力が発生している様子がわかります。この部分のミーゼスの相当応力の最大値は239〜240MPaとなりました。コンター図としては図示してありませんが、同じ個所の最大主応力の最大値は243MPaという結果となりました。
なお,本事例はサンプルであることをご了承下さい。
参考文献:泉 聡志,酒井 信介 :理論と実務がつながる実践有限要素法シミュレーション第2版, 森北出版, p.101, 5.3 有限要素法演習問題 中級問題1, 2022
Keywords: 四点曲げ試験解析,引張荷重, 曲げ荷重,接触問題,ミーゼスの相当応力
Tools: LS-PrePost ver.4.11, LS-DYNA MPP Win64 R14.1
July 09, 2025 create a new entry
Fig.1 文献を参考にして作成した解析モデル図(1)
Fig.2 文献を参考にして作成した解析モデル図(2)
Fig.3 メッシュ図
Fig.4 Case001/静的陰解法/引張荷重のみ負荷時のミーゼスの相当応力分布図
Fig.5 Case002/動的陽解法/引張荷重のみ負荷時のミーゼスの相当応力分布図
Fig.6 Case001/静的陰解法/引張荷重に曲げ荷重を追加して負荷した時のミーゼスの相当応力分布図
Fig.7 Case002/動的陽解法/引張荷重に曲げ荷重を追加して負荷した時のミーゼスの相当応力分布図
Fig.8 Case001/静的陰解法/引張荷重+曲げ荷重負荷時のミーゼスの相当応力分布図(固定レンジ表示)
Fig.9 Case002/動的陽解法/引張荷重+曲げ荷重負荷時のミーゼスの相当応力分布図(固定レンジ表示)